第 52 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 20
部位/臓器 女性生殖器 卵巣
演題名 小児の卵巣腫瘍 
出題者および所属
渋谷宏行、岡崎悦夫
新潟市民病院 臨床病理部

症例の概要・問題点
症例 15歳、女子高生 (38-6664-5 PN2128, 5399-2000)
臨床診断 卵巣腫瘍
現病歴・経過 2000年4月頃より下腹部の腫瘤を自覚。
5月15日、近医の産婦人科を受診し、MRI、エコーで左卵巣腫瘍が指摘された。
16日当院産婦人科を受診し、17日左卵巣腫瘍の臨床診断で小児外科に入院となった。
LDHが1041(232・427IU)と上昇し、腫瘍マーカーはCA125 895.8(・35.0μ/ml)、
CA19-9 40.7(・37.0μ/ml)、AFP 1.3(・20.0ng/ml)、
CEA 1.1(・6.0ng/ml)、hCG<1.0(1.0mIU/ml)。
22日左卵巣腫瘍摘出術、左卵管切除術、リンパ節郭清、
および右卵巣嚢腫(皮様嚢腫)摘出術を施行。
術中の所見では、左卵巣腫瘍は小児頭大(術中の測定で、1900g)で、
子宮左背側とダグラス窩に浸潤していた(FIGOのstage ?A)。
組織診断はケラチン陽性の未分化上皮性悪性腫瘍。
化学療法を3コース行い、8月29日退院。9月19日倦怠感出現。
20日食欲不振、腹部膨満のため救急外来受診。
その際のCTで腹水貯留、腹膜癌腫症が指摘され、入院。産婦人科に転科した。
LDH 1355、CA125 86.6(・35.0μ/ml)、AFP 7.3(1.1・8.6ng/ml)、
CA19-9<2.0(2.5・37.6U/ml)。24日、再度化学療法開始。
なおAFPが、11月2日29.7、24日25.0と上昇を示した。
その後急速に腫瘍が増大し、腹水増加、腎不全状態となり、11月30目に緊急手術施行。
術中所見では、腹膜、横隔膜などに播種が著明であった。
12月11日、胸部CTで左肺に2ヶ所の転移が発見された。
その後呼吸不全を来し、16目死亡。剖検なし。


問題点 組織診断名
最終病理診断 Anaplastic malignant tumor.(Yolk sac tumor)

配布標本 初回時38ブロック切り出したが、すべて同様な組織像。配布標本は、その1つ。