第 52 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 17
部位/臓器 泌尿器 腎
演題名 右腎原発カルチノイド腫瘍の1例
出題者および所属
伊藤真文、前田邦彦、山川光徳
山形大学医学部第一病理

症例の概要・問題点
症例 67歳 女性
家族歴、既往歴 特記事項なし
現病歴 angiographyにてpoolingのない腫瘍として検出されsimple nephrectomyされた。
カルチノイド症候群については気付かれておらず、なかったものと推測される。
他に腫瘍を認めず、腎原発と考えられた。

病理所見 腎髄質から腎孟にかけて存在する、2x2.5cm程の腫瘍。一部にcyst様の構造を伴う。
腎孟との直接連続性ははっきりしなかった。光顕像は、papillary structureを認めるが、
腎腫瘍取り扱い規約に類似例を見出せず、solidな部分はsmall cell様であることから、
neuroendocrineの特徴があるか調べるために、免疫染色を行った。
chromogranin A(+), diffuse; NSE(+), diffuse; CD56(+), diffuse; CD57(+), focal;
synaptophysin(-); Cytokeratin(+), diffuse; PAP(-); CD10(-)
グリメリウス陽性細胞も散見される。


問題点 cyst様の部分は高円柱上皮から成り、腫瘍と連続している様に見える。
また免疫組織化学的にも腫瘍部と類似している。
発生母地をどう考えるか?
またcystを伴う腎のカルチノド腫瘍の報告はあるかについて教えて下さい。

最終病理診断 Carcinoid tumor of the kidney.