第 52 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP
−TN) 抄録データベース |
出題者および所属 |
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長野県がん検診・救急センター検査部 土屋眞一 |
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症例の概要・問題点 |
要旨 |
乳腺病変における穿刺吸引細胞診は,画像診断と並んで術前診断に大きな役割を果たす検査法の1つである.とくに細胞診は同様な形態学的検査法である組織診,電顕とさまざまな観点から接点が認められ,これらが穿刺吸引細胞診の診断基準の基礎になっている.今回,微細形態像を中心にその所見が細胞診断とどのような接点を有し,またそれが如何に細胞診に寄与出来るかについて概説したい.乳管を構成する細胞には腺上皮細胞と筋上皮細胞がある.腺上皮細胞の微細形態は,乳頭に近い太い乳管(大乳管)・小葉間乳管が明調と暗調の細胞より構成されているのに対し,小葉を形成する末梢(終末)乳管ではほぼ明調な細胞が主体を占めている.おのおのの乳管を発生母地とする腫瘍もこの性格と忠実に表現しており,とくに細胞学的に類似性が見られる狭義の硬癌と浸潤性小葉癌との鑑別には有用である.筋上皮細胞も太い乳管と末梢(終末)乳管とでは微細形態学的に著しく異なっており,この構造形態を知ることは太い乳管から発生する乳管内乳頭腫の細胞診断の一助となり得る.また,組織学的に筋上皮細胞は良性病変のみならず非浸潤癌にも認められるが,細胞診では筋上皮細胞の存在(二相性)ゆえに非浸潤癌を良性病変として認識してしまうことが稀ながらある.しかし,微細形態学的に良性病変と非浸潤癌の筋上皮細胞には,その出現頻度と形態に相違点が認められることから,細胞診断に充分応用出来ると考える.そのほか,細胞質内小腺腔(ICL)および特殊型乳癌のいくつかにしぼって,その細胞像と微細形態像の関係について述べたい. |
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