第 53 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 15
部位/臓器 縦隔,胸腺 縦隔
演題名 乳児の縦隔腫瘍の一例
出題者および所属
楠美 智巳,1 田中 正則,1 鎌田 義正,2 工藤 一 1
弘前大学医学部1病理学第二講座,2附属病院病理部
症例の概要・問題点
症例 1歳,女児
家族歴 特記すべきことなし
既往歴 妊娠中、分娩時にも異常なし
経過 2001年1月(生後9カ月)、呼吸困難にて発症。2月に受診し、左胸腔内腫瘍の診断となる。
2月11日、腫瘍摘出術が行われた。腫瘍は縦隔胸膜に被われ、
肺上葉と中葉を押し拡げるように左胸腔内ほぼ全域を
占めていた。上縦隔を根部とし、縦隔からの発生とみられた。
大動脈を越え右側へ続いていたが、完全摘出はできなかった。
4月中旬より画像にて腫瘍の増大が認められ、気道狭窄症状も出現した。
4月25日、腫瘍再摘出術が行われた。腫瘍は胸椎と心臓の間に存在していた。
周囲とは線維性癒着があったが剥離は容易であった。
前回手術のため、左主気管支とは強固に癒着していた。
右胸腔内にも進展していたが、分割して腫瘍のほぼすべてを摘出しえた。
5月末現在、腫瘍再発は認められていない。

肉眼所見 灰白黄色で分葉状、弾性軟。薄い被膜を有していた。割面は粘液腫状を呈していた。
第1回、第2回とも同様の所見であった。

問題点 病理組織診断
最終病理診断 Lipoblastomatosis.

配布標本 第2回手術時の摘出腫瘍