第 53 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 12
部位/臓器 皮膚
演題名 皮膚腫瘍(顔面)の1例
出題者および所属
立野 紘雄 佐藤郁郎
宮城県立がんセンター 病理
症例の概要・問題点
症例 82歳 男性
既往歴 Parkinson's diseaseにて加療中
現病歴 平成13年3月始めに腫瘤に気づく
外科開業医を受診し、摘出が試みられたが被膜のない充実性
腫瘤であるため、摘出を断念し、生検のみ行われた。
検査センターに提出された組織診報告にて、悪性腫瘍
(悪性リンパ腫や未分化癌が考えられる)のため、
3月13日当院頭頚部外科紹介となった。
腫瘤は左内眼角・眼瞼に,3cm大の結節性に膨隆している。
可動性あり。
3月27日 がんセンター入院、4月2日 局麻下に摘出術、
患部はfree skin graftを用いて再建された。

病理所見 真皮内に、中型の均一な円形腫瘍細胞が格別の構造を
示めさずに、極めて髄様に増殖している。
免疫組織化学結果:LCA(-), AE-1/-3(-),
cytokeratin(MNF116)(-), cytokeratin20(++), EMA(±・+),
EA(Ber-EP4)(±・+), S-100(-), Vimentin(±), NSE(+),
chromogranin(+), neurofilament(-), Leu-7(-)


問題点
最終病理診断 Merkel cell carcinoma.

配付標本 皮膚腫瘍部

上皮性性格に乏しいきらいはあるものの、Merkel cell carcinoma
(Cutaneous small-cell undifferentiated carcinoma, Merkel
cell type)の典型例と考えています。
この腫瘍の組織発生についてご教示下さい。