第 53 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 09
部位/臓器 女性生殖器 膣
演題名 膣原発骨盤内腫瘍の1例
出題者および所属
小野伸高1,中村直哉1
渡辺一男2、阿部正文1
福島県立医科大学 医学部 1病理学第一講座、2附属病院 病理部
症例の概要・問題点
症例 43才 女性
既往歴・家族歴 特記すべきことなし
現病歴 1999.5 左側外陰部の腫瘤感があり、某病院産婦人科を受診。膣壁から骨盤内に
     かけて腫瘍が認められ、腫瘍摘出術が行われた。術前の検査成績では
     CA-125、CA19-9、フェリチンなどの腫瘍マーカーは正常域であった。

手術所見      膣粘膜直下から恥骨方向に広がりを示す超手拳大の腫瘍があ
     り、浸潤性に増殖していた。多数の栄養血管が腫瘍に侵入し
     ていた。摘出された腫瘍は弾性軟で、割面は黄白色、粘液腫
     状であった。

     摘出腫瘍の病理組織診断は「外陰部悪性線維性組織球腫」であった。
     術後、膀胱左壁に再発腫瘍がみられ、化学療法(CYVADIC)が施行された。

2000.8 MRlで膀胱左側に腫瘍が再度みられたため、福島県立医科大学産婦人科を
     紹介され、受診。CTで膣左側壁から膀胱左壁にかけて5cm大の腫瘤が認め
     られた。

検査成績      WBC 3900 RBC 4.56x106 Hb 13.9 PLT 161x103
     AST 15    ALT 9    LDH 304   ALP 173
     TB 1.0   BUN 10    Crea 0.8   UA 5.1
     TP 7.9   Alb 4.8   TC 293   TG 79
     Na 143   K 4.4   Cl 104
     HBsAg(-)   HCV Ab(-)
2001.1 腫瘍摘出術が施行された。

手術所見      膣壁から恥骨・膀胱左側にかけて軟らかい腫瘍を認めた。腫
     瘍は被膜がはっきりせず、膣壁および恥骨に癒着していたが、
     膀胱壁からは容易に剥離できた。
     術後、外来で経過観察されているが、現在まで再発などはみられてい
     ない。


問題点 病理組織診断と悪性度
最終病理診断 Myofibroblastic cell tumor, low-grade malignancy.