第 68 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 21 区分 B. 典型例・教育的・その他の症例
部位/臓器 造血器 リンパ節
演題名 原因不明の発熱が遷延し死亡したHIV感染患者の1剖検例
出題者および所属
板橋 智映子1),水上 浩哉2),方山 揚誠1)
1) 八戸市立市民病院 病理
2) 弘前大学大学院医学研究科 分子病態病理学講座
症例の概要・問題点
症例 61歳 男性
家族歴 特記すべきことなし
既往歴 約30年間アフリカや東南アジアなどで大使館のエアコン取り付けの仕事をしてきた.
これまでマラリアの感染歴が4回ある.
現病歴 死亡する7ヶ月前,38度台の発熱が遷延し下痢や嘔吐も伴うようになった.
死亡する約4ヶ月前,近医から当院を紹介され受診した.るいそうが高度で肝腫大,鼠径リンパ節が
軽度腫大していた.血液塗抹ではマラリア原虫は見られず,採血でHIV感染症と診断された.
入院時の白血球数は3500/μl,リンパ球800/μl, CD4リンパ球は75/μl(500-lOOO)と減少していた.
肝生検,鼠径リンパ節生検では腫瘍性変化や感染症は見られなかった.
胸部X線やCT,培養検査が行われたが発熱の原因はわからなかった.
HARRT(Highly active antiretroviral therapy)療法が開始され一度解熱したが,再び40度以上の高熱が
遷延し,食事摂取困難,汎血球減少となり死亡した.
剖検肉眼所見 ? 肝脾腫(肝2060g,脾臓360g)および黄疸
?リンパ節腫大(肝門,後腹膜,頚部.肝門が最大で長径約3?.
褐色から白色調でリンパ節の融合は見られない)
?副腎腫大(20:20g)
配布標本 肝門リンパ節

問題点 リンパ節の病理組織診断
最終病理診断 HIV-related Hodgkin lymphoma