第 68 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 17 区分 A. 難解・問題症例
部位/臓器 泌尿器 腎
演題名 診断に苦慮した腎腫瘍の一例
出題者および所属
柴原 裕紀子1),阿部 佳子2),佐々木 光晴3)
長嶋 洋治4),笹野 公伸1)
1) 東北大学大学院医学系研究科 病理診断学分野
2) 東北大学大学院医学系研究科 病理形態学分野
3) 仙台日赤病院 泌尿器科
4) 横浜市立大学大学院医学系研究科 分子病理学部門
症例の概要・問題点
症例 62歳 女性
主訴 血尿
既往歴 糖尿病
現病歴 血尿を主訴に近医受診し,超音波検査にて腎の形態異常を指摘され,仙台赤十字病院を紹介受診した.
CT, MRI検査にて右腎下極に直径20mm大の嚢胞状成分と実質成分からなる腫瘍を認めた.
造影CTで実質性成分はenhanceされた.胸部CTでは肺野に腫瘤病変は認められなかったが,
両側下肺底部優位に,軽度の気腫性・嚢胞性変化が認められた.肺に転移病変はないとの判断で,
右腎部分切除を施行した.
肉眼所見 腎被膜下腫瘍で,ほとんど腫瘍核出に近い状態であった.
白色調充実性の境界明瞭な腫瘤病変に接して直径1cm程の嚢胞壁が認められた.
病理組織学的所見 好酸性の細胞質を有する紡錘形・多角形の大型の細胞が充実性に増殖している.
また,多核巨細胞を認める.一部ではスリット状血管,壁が硝子化した中型動脈,
硝子化した結合組織性隔壁を認める.免疫組織化学染色の結果,腫瘍細胞はdesmin, SMA,
myoglobin陽性で,上皮系マーカーおよびHMB45は陰性を示した.
多核巨細胞はS100陽性,CD68陰性であった.
配布標本 腎腫瘍

問題点 病理組織診断
最終病理診断 Epithelioid angiomyolipoma