第 68 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 12 区分 B. 典型的・教育的・その他の症例
部位/臓器 心,血管系 心
演題名 左房室弁口が左房内に形成された血栓で閉塞され急死した1例
出題者および所属
灰谷 あずさ1),大藤 高志2),洞口 愛3)
蒲生 真紀夫3)
1) みやぎ県南中核病院 研修医
2) 同 病理科
3) 同 消化器科
症例の概要・問題点
症例 85歳 男性
既往歴 20歳代 胸膜炎,30歳代 頚部リンパ節腫瘍を手術.79歳時に心房細動と心不全で他院入院.
50歳代と80歳代に脳梗塞で度々他院入院.
現病歴 死亡する2ヶ月前にS状結腸軸捻転の手術.
その後下肢CVカテーテル挿入部に生じた静脈血栓症に血栓溶解療法,引き続き外来での
ワーファリンによる抗凝固療法を続行中であった.心房細動あり.
死亡15日前にPT-INRの延長を認め入院.
12日前に下血あり,出血性胃潰瘍に対して輸血と内視鏡による止血術.
その後自力歩行が出来るまでに状態は良くなった. なお,卵円孔開存,MR, ARを指摘されている.死亡前のPT-INRは1.2.
剖検結果 左房内の血栓性心内膜炎の血栓が剥離し左房室弁口を閉塞したための急死であった.
心臓には二次孔型心房中隔欠損症があり,左右心房の拡張と右室肥大が強かった.
症例提出の目的 心房細動があれぱ必ず左房内に血栓性心内膜炎が出来る訳でもないだろうから,本例では
二次孔型心房中隔欠損症の存在が重要であったと思われるが,臓器病変について皆様の
ご意見を伺いたい.
なお,提出したのは,左房壁,肝臓の一部である.

最終病理診断 ASDに関連したMRによる内皮傷害が左心房血栓形成に関与した疑い