第 53 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 02
部位/臓器 唾液腺
演題名 軟口蓋から発生した悪性筋上皮腫の1例
出題者および所属
長沼 廣1)、大谷紀子2)
鈴木直弘3)、吉田征之3)、沖津卓二3)

1)仙台市立病院 病理科
2)東北大学大学院医学研究科形態病理学分野
3)仙台市立病院耳鼻咽喉科
症例の概要・問題点
症例 76歳、男性
主訴 上咽頭違和感
既往歴 昭和24年 虫垂炎、昭和27年 両側肺結核、昭和28年 胸郭形成術
家族歴 特記すべき事なし
現病歴 昭和39年上咽頭違和感の為、某病院受診し、軟口蓋の腫瘍を指摘された。
腫瘤摘出が施行され、多形腺腫と診断された。昭和61年同部位に再び腫
瘤が出現、某大学病院にて摘出を受け、多形腺腫再発と診断された。
平成4年同部位に腫瘤出現、某耳鼻科開業医から当院耳鼻科に紹介となった。
腫瘍再発として摘出術を施行され、monomorphic adenomaと診断された。
その後、平成7年、平成9年、平成10年、平成11年再発切除を施行された。
平成7年には口腔より鼻腔に小さな瘻孔が出来た。平成7年に筋上皮腫と診断され、
更に悪性も示唆されたため、腫瘍を含めた広範切除が求められたが、腫瘍完全切除が
困難な場所で、局所切除で経過観察された。平成10年には口蓋の欠損が見られた。
平成11年9月には再発腫瘍に対して70Gyの照射が施行された。現在は右上顎骨を破壊する
手拳大の腫瘍が見られ、そのため、頬部腫張と眼球圧迫による右眼失明の状態にある。
組織所見 平成4年の腫瘍からはほぼ同様の組織像を呈し、やや小型でクロマチンの濃染した核を持つ
腫瘍細胞の充実性増殖から成っていた。平成7年には筋上皮腫と診断され、
かつ悪性を強く示唆するコメントがなされた。

問題点 腫瘍を悪性筋上皮腫と診断し広範切除を強く示唆でき得るか?
最終病理診断 Myoepithelioma, potentially malignant

配布標本 1992年(平成4年)の腫瘍組織