第 67 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 25 区分 B. 典型的・教育的・その他の症例
部位/臓器 泌尿器 膀胱
演題名 膀胱腫瘍の一例
出題者および所属
日下部 崇,星 暢夫,鈴木 利光
福島県立医科大学医学部 病理学第二講座
症例の概要・問題点
症例 81歳,男性
既往歴 特記事項なし
現病歴 平成19年12月頃,肉眼的血尿を自覚した.
近医を受診し,USG,CTにて膀胱腫瘍が疑われ,膀胱鏡にて乳頭状の腫瘍が確認された.
平成20年1月,福島医大附属病院泌尿器科にてTUR-BTを施行された.
肉眼所見 大きさ約2x2cm.乳頭状,広基性腫瘍
配布標本 摘出腫瘍

問題点 組織診断
最終病理診断 リンパ上皮腫様癌(限局型)

演者診断 リンパ上皮腫様癌(限局型)
コメント リンパ上皮腫様癌は膀胱癌の稀な亜型のひとつで,膀胱以外にも,肺,乳腺,唾液腺など様々な臓器に発生することが知られている.組織像は頭頚部のリンパ上皮癌と同様であるが,膀胱のリンパ上皮腫様癌ではEBウイルスとの関連は証明されていない.化学療法に対する感受性は高く,通常型の尿路上皮癌よりも予後は良い.生検材料では,高度の炎症細胞浸潤のため慢性膀胱炎と過小診断される可能性があるので注意を要する.
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弱拡大.表層には非腫瘍性尿路上皮が被覆. 中拡大.著明,多彩な炎症浸潤と索状に増生する腫瘍.

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強拡大.合胞体状の腫瘍細胞.大型淡明な核と明瞭な核小体.核分裂像多数.