第 67 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 22 区分 B. 典型的・教育的・その他の症例
部位/臓器 消化管 小腸
演題名 小腸腫瘍の一例
出題者および所属
加藤 智也1),岩場 晶子1),大竹 浩也1)
山川 光徳1),長谷川 和住2),松本 秀一2)
1) 山形大学医学部 病理病態学分野
2) 山形県立新庄病院 外科
症例の概要・問題点
症例 42歳 女性
家族歴 特記すべきことなし
現病歴 一ヶ月ほど前から腹痛を自覚していたが我慢していた.痛みが強くなってきたため当科受診.
精査にて腹腔内膿瘍を認めたため手術施行された.
開腹所見では,トライツ靭帯より60cm遠位の小腸に径12cmの腫瘤が認められた.
横行結腸や下行結腸にも浸潤していた.腫瘍部小腸切除,左半結腸切除,腹腔ドレナージ術が施行された.
病理所見 小腸腫瘍は中等大の円形細胞の増生からなり,中心部は壊死していた.
配布標本 小腸腫瘍

問題点 病理組織診断
最終病理診断 Enteropathy-type T-cell lymphoma

診断 Enteropathy-type T-cell lymphoma
コメント 小腸腫瘤では中等大の異型リンパ球がびまん性に増殖していた(図1).免疫染色ではCD3(+)(図2), CD4(-), CD5(-), CD8(+), CD56(+), Granzyme B(+)(図3)を示し,腸上皮内浸潤も認められた(画像4,Granzyme B).CD56(+),血管中心性の浸潤も認めたことから,鼻型節外性NK/T細胞リンパ腫の可能性も考えられたが,LMP-1(-), EBNA2(-), EBER(-)とEB virus陰性で,腸管症型T細胞リンパ腫と判断した.
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画像3 画像4