第 67 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP
−TN) 抄録データベース |
演題番号 |
21 |
区分 |
B. 典型的・教育的・その他の症例 |
演題名 |
中毒性巨大結腸症をきたした重症大腸炎の一例 |
出題者および所属 |
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佐藤 聡子,村上 一宏,東北厚生年金病院 病理部
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症例の概要・問題点 |
症例 |
59歳 男性 |
主訴 |
左下腹部痛,発熱 |
既往歴 |
25歳 虫垂切除,40歳・ 大腸ポリープ切除術(3,4回施行) |
生活歴 |
図書館勤務,60代男性,70代男性と3人暮らし |
現病歴 |
平成19年2月,東北地方内を旅行中に左下腹部痛と39度台の発熱が出現.
移動先の病院を受診し抗生剤を処方された.翌日に再び前医を受診したところ
採血上WBC 26000/μl, CRP 21mg/dlと炎症反応が高値であったために同日当院消化器科を受診した.
造影CTで広範囲に結腸壁の肥厚が認められ感染性腸炎の診断となり入院し治療を開始した.
複数の抗生剤で治療を行ったが炎症反応の改善は認められず,起炎菌の同定には至らなかった.
その後,排便,排ガスが停止し症状出現20日後には腹水貯留やfree airの出現を確認し,
翌日MOF,DIC状態となり死亡した.
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剖検所見 |
腸管内容の流出を伴なった腹水が1500ml貯留.上行・横行・下行結腸は壊死,融解状態であった.
残存したS状結腸や直腸には漿膜に達する大小の多発潰瘍を認めた.
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問題点 |
病理組織診断 |
最終病理診断 |
劇症型アメーバ腸炎 |
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演者診断 |
劇症型アメーバ腸炎 |
コメント |
結腸の著明な拡張が確認された重症大腸炎であったが,生前には腸炎の原因が不明であった.剖検を行ったところ,結腸は広範に壊死,融解状態で大腸粘膜にアメーバ虫体が証明され診断に至った.当院受診時にはすでに全身状態が悪く,積極的な治療,検査ができなかった.生前の鑑別診断にアメーバ腸炎が挙げられず検査が進められなかったことも反省点として挙げられる症例であった. |
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画像1
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画像2
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大腸の潰瘍 |
筋層を貫く潰瘍 |
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画像3
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画像4
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アメーバ虫体 |
アメーバ虫体の血管侵襲 |
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