第 53 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 01
部位/臓器 唾液腺
演題名 頬部に発生した腫瘍
出題者および所属
門間 信博
盛岡赤十字病院病理部
症例の概要・問題点
症例 83才、女性。
平成13年3月8日に10年前から存在する右頬部の口腔内に突出する腫瘤の摘出術を受けた。
手術の1ヶ月前に腫瘤部が化膿して口腔内への膿排泄が見られ,抗生剤による治療を受けた。
平成13年5月下旬現在、再発なし。
手術所見 周囲への浸潤はなく、腫瘤は多少周囲の組織を混じて、ほぼ核出に近い状態で摘出された。
耳下腺との関係はない。
肉眼所見 腫瘤の大きさはおよそ27x15x15mm大で、一部に石灰沈着がみられた。
また、嚢胞様構造も認められた。
免疫組織 polyclonal keratinとS-100蛋白は大部分の腫瘍細胞に陽性。
α-SMAは陰性。vimentin陰性。MIB-1陽性の細胞はない。

問題点 1)組織診断。
2)頬部粘膜の小唾液腺からの腫瘍と考えた。
 basal cell adenoma,あるいはbasal cell adenocarcinomaを考えた。
 経過からすれば良性が考えられるが、一部でmitosisが見られ、最大数8mf/10HPF数えた。
 上記以外の診断か。
最終病理診断 Modified pleomorphic adenoma to myoepithelial cell.

配布標本 腫瘍を切り出して作製した4個のブロック(腫瘍をほぼ全割)のうちの1個からの切片。