第 67 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 19 区分 B. 典型的・教育的・その他の症例
部位/臓器 軟部組織 その他
演題名 左外陰部に発生した軟部腫瘍の1例
出題者および所属
菅原 正登1),加藤 哲子1), 内海 七重2)
刑部 光正1), 本山 悌一1)
1) 山形大学医学部 人体病理病態学教室
2) 山形大学医学部 放射線科
症例の概要・問題点
症例 78歳,女性.
主訴 左外陰部の腫瘤.
既往歴 73歳時,子宮脱手術.
現病歴 1年6ヵ月前より左外陰部の腫瘤を自覚した.
徐々に増大し,痛みを伴うようになったため,近医を受診した.
外陰部腫瘍の診断で当院を紹介され,受診した.切開生検を行った後,腫瘍切除術を施行した.
肉眼所見 皮下から筋層内に,7.5cmx6.3cm×5.4cmの腫瘍が見られ,被膜に覆われていた.
腫瘍割面は灰白色から黄白色で,石灰沈着を伴っていた.
配布標本 軟部腫瘍切除検体.

問題点 病理診断.
最終病理診断 骨外性間葉型軟骨肉腫

病理診断 骨外性間葉型軟骨肉腫
コメント 小型で円形の細胞が血管周皮腫様構造を示しながら密に増殖している部分と,島状で高分化な軟骨を形成している部分との二相性増殖を認めた.本症例のように二相性増殖が明らかである場合は,診断に難しくないが,検体が小円形細胞部のみで構成されている場合,他の小円形細胞腫瘍との鑑別が困難となる.免疫組織化学的にSox9は小円形細胞部と軟骨部の両方で陽性を示し,他の小円形細胞腫瘍では陰性となるため,鑑別に有用なマーカーである.
画像1 画像2
切除標本弱拡大.細胞密度が高いところと低いところがみられる. 小円形細胞部(強拡大).細胞密度が高いところでは,小円形細胞が血管周皮腫様構造を示しながら増殖している.

画像3 画像4
軟骨部(強拡大).細胞密度が低いところでは,石灰化を伴う高分化な軟骨の形成が認められた. 小円形細胞部と軟骨部でのSox9発現.Sox9は,小円形細胞部と軟骨部の両方の細胞核で陽性を示した.