第 67 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 05 区分 B. 典型的・教育的・その他の症例
部位/臓器
演題名 副甲状腺腫瘍の一例
出題者および所属
三好 寛明1), 田村 元1), 緒形 真也1)2),
笹生 俊一1)3),柳川 直樹2), 本山 悌一2)
1) 山形県立中央病院 中央検査部病理
2) 山形大学医学部 人体病理学教室
3) 八戸赤十字病院 病理
症例の概要・問題点
症例 70才 男性
現病歴 検診の肺X線検査で右肺の結節状陰影を指摘されて当院を受診した.受診時,右頚部に腫瘤を認め,CTでは甲状腺右葉の背面に3cm大の腫瘍,右肺S3に2cm大の腫瘍が描出された.血中PTH 237pg/ml, Ca 14.5mg/dlと異常高値.腫瘍摘出+甲状腺右葉切除術が行なわれた.
配付標本 手術摘出標本

問題点 病理組織診断
最終病理診断 高分化癌から未分化癌への移行を示す副甲状腺癌

演者診断 高分化癌から未分化癌への移行を示す副甲状腺癌
コメント 未分化癌の成分はp53遺伝子の変異を獲得しており,p53遺伝子変異がtransformationの契機となったと考えられた.
画像1 画像2
高分化な副甲状腺癌から紡錘形の未分化癌に移行している像を認めた. 移行部の強拡大像.

画像3 画像4
p53の免疫染色では未分化癌成分に陽性で高分化癌成分はほぼ陰性であった. 高分化癌成分と未分化癌成分からDNAを抽出してp53の変異を解析した.SSCPで未分化癌成分にのみシフトバンドを認めた.高分化癌成分の野生型のバンドと未分化癌成分のシフトしたバンドの塩基配列を解析したところ未分化癌成分でコドン248に変異を認めた.