第 67 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 03 区分 B. 典型的・教育的・その他の症例
部位/臓器名 腹膜・後腹膜及び関連組織 後腹膜
演題名 多彩な組織像を示した腹腔内・後腹膜腫瘍の1例
出題者および所属
神 寛之1)2), 大橋 大成1)2), 工藤 康之1)3),
原 精一1)4), 佐藤 冬樹1),楠美 智巳1), 鬼島 宏1)
1) 弘前大学大学院医学研究科 病理生命科学講座
2) 同 消化器外科学講座
3) 同 消化器血液内科学講座
4) 東邦大学医療センター大森病院 消化器内科
症例の概要・問題点
症例 75歳 男性
既往歴 高血圧,糖尿病,大腸ポリープ(12年前ポリペクトミー)
家族歴 父 胃癌
現病歴 5年前,検診で胃粘膜下腫瘍を指摘されたが,近医で経過観察となっていた.
3年前,胃の検査において著明な胃の圧迫が認められたため,当院消化器外科へ 紹介となり,開腹下に小網内腫瘍と後腹膜腫瘍を摘出した(第1回手術).
今回,上腹部圧迫感を自覚したため,腹部CT検査を行ったところ,腹腔内に径約10cmの腫瘤が認められ,再び当院消化器外科へ紹介となった.開腹術が行われ,空腸間膜と十二指腸後壁にそれぞれ腫瘍が認められ摘出した.また,それらの周囲にも径1.5cm以下の腫瘍が多数認められ,可及的に摘出した(第2回手術).
病理組織像 第1回手術
 小網内腫瘍: 粘液腫状変化を伴い脂肪細胞が増殖,一部に骨形成巣
 後腹膜腫瘍: 成熟脂肪細胞が一様に増殖

第2回手術
 空腸間膜腫瘍: 粘液腫状変化を伴い脂肪細胞が増殖(第1回手術の小網内腫瘍とほぼ同様の組織像)
 十二指腸後壁腫瘍: 紡錘形細胞が増殖
 腹腔内小腫瘍:骨形成腫瘍
配布標本 各腫瘍のHE像を印刷配布

問題点 病理診断
最終病理診断 Dedifferentiated liposarcoma