第 66 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP
−TN) 抄録データベース |
演題番号 |
22 |
区分 |
B. 典型的・教育的・その他の症例 |
出題者および所属 |
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盛岡赤十宇病院 病理部
門間信博
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症例の概要・問題点 |
症例 |
1) 後天性血友病,2) 悪性リンパ腫疑い,の臨床診断で血液内科に入院していた84才の男性.頸部と傍腹部大動脈リンパ節が腫大しているが出血傾向があるため生検は施行できず,積極的な治療はなされないまま,入院38日目に死亡.死後,家族の承諾を得て,頸部リンパ節を採取し,病理組織検査に提出.リンパ節の他に副腎に腫瘤が認められた.
以上は口頭で主治医から与えられた情報.
腫瘍細胞は大型で,好酸性の胞体を持ち,多形性に富み,細胞結合は緩く,肉腫様にみえた.免疫組織ではLCA,CD20,CD79a,CD3,CD45RO,CD30,S-100蛋白はいずれも陰性で,AE1/AE3とEMAが陽性であった.
追加した免疫組織ではCK7(-),CK18(+),CK19(-),CK20(-),34βE12(-),vimentin(+),CD10(+),PSA(-),TTF-1(-),calretinin (-)であった.
AE1/AE3(+),EMA(+),CK18(+),CD10(+)は腎細胞癌と同様な反応であったので,腎腫瘍の有無などについて放射線科に生前に検査していたCTの見直しを依頼したところ,左腎上極に54x37mm大の非嚢胞性の腫瘤が存在するとの回答を得た.
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配布標本 |
死後に採取された左頸部リンパ節の腫瘍
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問題点 |
本症例は肉腫様の腎細胞癌と考えたいが,これでよろしいか?
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最終病理診断 |
Metastatic renal cell carcinoma with sarcomatoid features
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コメント |
Renal cell carcinoma, sarcomatoid carcinoma (WHO: RCC, unclassified).会場からrhabdoid cell typeのRCCという意見が出た.免疫組織が診断の手がかりになった症例であるが,組織も毛細血管に囲まれた充実性胞巣を示すなど,腎細胞癌の特徴を示している.本症例は凝固抑制第8因子が1,570BU/ml,凝固抑制第9因子が12BU/mlと高く,renal cell carcinomaに併発した後天性血友病であり,血液内科学的にも珍しい症例であった. |
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画像1
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