第 66 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 06 区分 A. 難解・問題症例
部位/臓器
演題名 肝腫瘍の一剖検例
出題者および所属
1 新潟市民病院 病理科,2 同 救急科
橋立 英樹1,渋谷 宏行1,三間 紘子2,熊谷 謙2
症例の概要・問題点
症例 50歳代 男性

臨床診断 悪性腫瘍骨髄転移の疑い

既往歴・生活歴 大酒家.医者嫌いで特に受診歴なし

現病歴 2007年2月26日,食思不振・胸痛・経口摂取困難を主訴に近医内科受診し,意識レベルの軽度低下と全身の筋力低下を指摘され他病院紹介受診・入院した.精査にて,血小板減少・高カルシウム血症・腎機能障害・肝機能障害(アルコール性疑い)が認められ,当院へ転院となった.高カルシウム血症の原因として悪性腫瘍骨髄転移が疑われた.CTにて肝S5に血管腫または転移性腫瘍と考えられるLDAと腹部リンパ節・傍大動脈シンパ節を指摘された他,画像上腫瘍性病変は認められず,原発巣の特定には至らなかった.発熱の持続や低酸素血症もみられ,DICを伴う多臓器不全が進行し3月4日午後1時30分死亡した.

検査成績 Plt 5000/μl, Ca 18.0 mg/dl, intact-PTH 35 pg/ml, PTHrP <1.0 pmol/l, HbsAg(-), HCV(-), CEA 8.1 ng/ml, CA19-9 141.7 U/ml, SCC 1.7 ng/ml.

剖検肉眼所見 肝臓は1345g,左葉辺縁の鈍化,肝表面の顆粒状変化がみられた.割面では,大小不同の偽小葉の形成をともなう線維化を肝全体に認め,肝硬変の所見と考えられた.右葉に4x3x3cm,黄灰白色調で,出血をともなう結節性病変がみられ,右葉・左葉に数mm大の小結節が数個,散在性に認められた.胸椎・腰椎・肋骨いずれも骨髄に腫瘍の転移を疑わせる黄灰白色調部分と出血・壊死がみられた.

配布標本 肝右葉の腫瘍


問題点 病理組織診断

最終病理診断 Liver carcinoma, poorly differentiated with neuroendocrine differentiation.