第 66 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 05 区分 A. 難解・問題症例
部位/臓器
演題名 肝左葉胆管内に広汎な進展を示し肝臓原発と推定される腫瘍の1例
出題者および所属
独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター
1 臨床検査科,2 消化器科,3 外科,4 臨床研究部,5 米国テキサス ヒューストン メソジスト病院 病理

鈴木 博義1,4,木村 憲治2,八巻 孝之3,武井 英博5,1
野口 謙治2,成島 陽一3,島村 弘宗3,千田 信之2
武田 和憲3,手塚 文明1,4
症例の概要・問題点
症例 32才,女性.

主訴 心窩部痛

既往歴 特記すべきものなし.本抄録作成時までに肝臓以外に腫瘍は見つかっていない.

臨床経過 主訴の心窩部痛のため超音波検査が施行され,肝内胆管拡張の所見が発見された.肝機能は正常.DUPAN-2, CEA, CA19-9は正常範囲内.画像診断上CTではB3内腔CT値の異なる陰影が散在性に認められ,ERCPではB3内腔に乳頭状の造形欠損が認められた.肝内胆管に関連した肝原発悪性腫瘍が疑われ肝左葉切除,所属リンパ節郭清が施行された.

病理所見 肉眼的には肝臓S3の被膜直下から腹腔内に向かって境界明瞭,辺縁整のドーム状の2cm大の腫瘤の突出が認められた.割面ではB3胆管は周囲の肝組織を圧排するように拡張し,内腔にはmyxoidな弾性硬から柔らかい腫瘍栓様病変が広汎に認められた.
組織学的に腫瘍は偏在性核と好酸性の細胞質をもつ非上皮性と推測される異型細胞よりなる.Myxoidな間質を有し,一部は軟骨基質に類似.また.胆管上皮下の増殖が目立った.切除断端付近の太い胆管周囲結合組織内に不完全な導管,腺房を含む異所性膵組織が散在していた.

腫瘍細胞の免疫染色の結果 陽性: α-SMA;強く陽性,p63:微弱に陽性.
陰性: Pan-cytokeratin(DAKO),CAM5.2, AE1/AE3, EMA, S-100,
    Desmin, Sarcomeric actin, Hepatocyte I, CD34, CD31, C-KIT, HMB45.


問題点 病理組織学的診断

最終病理診断 Myofibroblastic tumor, high grade疑い