第 54 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース | |||||||||||||||||||||||
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症例の概要・問題点 | |||||||||||||||||||||||
症例 | 66歳男性. | ||||||||||||||||||||||
嘔吐および体重減少(9kg/3ヶ月間)を主訴に近医を受診し、腹部超音波 検査上,胆嚢腫瘍との診断にて紹介入院となる.入院時,黄疸を認めず,右上腹部に 手拳大、可動性が比較的良好な弾性硬の腫瘤を触知した.血液検査では血清アミラー ゼが高値を示すも、胆道系酵素,膵内分泌ホルモンは正常範囲内であった.一方, CA19-9 は180U/mlと高値を示していた.腹部CT上,胆嚢腫瘍は否定され,膵頭部に径 約6cm 大,造影早期から濃染される腫瘤性病変が確認された.腫瘍内部は中心壊死に よると考えられる低吸収を呈していた.腹部血管造影検査では腫瘍の存在部位に一致 して上膵十二指腸動脈からfeeding される腫瘍濃染を認めた.これらの画像検査から は中心壊死に陥った非機能性膵ラ氏島腫瘍が最も疑われたが,ERCPでは膵頭部の主膵 管に陰影欠損が認められ,膵液細胞診の結果は陽性,adenocarcinoma疑いであった. 以上より,術前に確定診断を得るにはいたらず,主膵管に浸潤を認める膵頭部の hypervascular tumor との診断にて幽門輪温存膵島十二指腸切除術を施行した.膵頭 部に6×6×3cm 大の比較的境界が明瞭な腫瘍を認め,肝転移,リンパ節転移はなく, 切除は可能であった.術後は順調に回復し,第15病日退院となった.現在術後1年を 経過し健在である. |
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問題点 | 1.診断 2.悪性度 |
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最終病理診断 | Acinar cell carcinoma of the pancreas. | ||||||||||||||||||||||
配付標本 | 膵腫瘍 | ||||||||||||||||||||||
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