第 66 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 03 区分 A. 難解・問題症例
部位/臓器 造血器 リンパ節
演題名 第62回本地方会で報告した「回腸穿孔で判明したホジキン病とクローン病の合併例」,その後
出題者および所属
宮城県南中核病院 1研修医,
         2病理科,
         3外科,
         4放射線科,
         5日本病理研究所

小林 誠1, 大藤 高志2, 高橋 道長3, 内藤 広郎3,
赤井沢 隆4, 若狭 治毅5
症例の概要・問題点
初回報告の概要  83歳女性.回腸穿孔の疑いで緊急手術され,切除された回腸のほぼ全長(70cm)に複数列の腸間膜側に位置する線状潰瘍があり,全周性の大きな3個の潰瘍(1個が穿孔)と敷石像も見られた.組織で,線状潰瘍部にクローン病,3個の潰瘍部にホジキンリンパ腫の像を認め,Dawsonらの基準に従い,回腸原発のホジキン病にクローン病が合併した例と診断した.

その後の経過 退院後外科外来で経過を観察していたが(ペンタサ服用),およそ1年3ヶ月後に全身倦怠感,食思不振が強まり,血小板減少,白血球減少,黄疸,炎症反応等が認められたので再入院となった.検査値に改善が見られずDICも出c現し,およそ20日後に亡くなり,翌日剖検となった.なお,GaシンチとCTではホジキンリンパ腫の再発を疑わせる所見は確認されなかった.

配布標本 剖検時に,傍気管,傍胸大動脈等に多数の軟らかいリンパ節腫大があった.左総頚動脈起始部近くでは,非融合性の5個のリンパ節がおよそ3cmの塊を作っていた.標本はその一部.


問題点 これはホジキンリンパ腫の再発?

最終病理診断 縦隔リンパ節原発のHodgkin病の顕在化