第 65 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 20 区分 A. 難解・問題症例
部位/臓器 鼻腔,副鼻腔,鼻咽頭,喉頭
演題名 診断に苦慮した鼻腔内腫瘍の一例
出題者および所属
岩手医科大学 中央臨床検査部 臨床病理部門
鈴木 正通,焦 宇飛,無江 良晴,小西 康弘,上杉 憲幸,菅井 有
症例の概要・問題点
症例 52歳 女性
主 訴 咽頭に違和感が生じた.
既 往 歴 髄膜腫,左三叉神経鞘腫(平成16年)
現病歴 B病院にて頭蓋内病変の経過観察中,H18年10月頃より咽頭のしめつけ感が出現した. MRIを施行したが異常を指摘できなかったため放置するも,軽快しないため,H19年1月にA病院を受診した.精査の結果,左鼻腔前庭部に隆起性病変を認めたため,翌日入院となった.
入院時現症 WBC 4.1x103/μl, RBC 4.21x106/μl, Hb 12.9g/dl, TP 6.9g/dl, UN 17.6mg/dl, Cr 0.49mg/dl, BS 103mg/dl, AST 25IU/l, ALT 24IU/l, LD 206IU/l, ALP 264IU/l,γGT 13UI,CK 848U/I,AMY 89U/I, T-Bil 0.4mg/dl, D-Bil 0.1mg/dl, CRP 0.1mg/dl
病理組織学的所見 左鼻腔から摘出された,大きさ12mmx9mmのポリープ性病変には,組織学的に,線毛上皮で覆われた鼻腔粘膜の上皮下に,類円形あるいは短紡錘型の細胞が大小の胞巣を形成しながら,あるいは個細胞性に,浸潤性増殖をするのが認められた.細胞は大小不同の類円形核と好酸性の胞体を有し,一部の細胞では核の偏在が認められた.間質は浮腫状で,粘液腫様の基質や線維化が部分的に見られた.

問題点 病理組織診断
最終病理診断 Myoepithelial-epithelial tumor with uncertain (low grade) malignant potential.
フロアよりsalivary type adenoma, pleomorphic adenomaとの意見あり.