第 65 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP
−TN) 抄録データベース |
演題番号 |
15 |
区分 |
B. 典型的・教育的・その他の症例 |
演題名 |
急激な経過をたどった慢性活動性EBウィルス感染症の一剖検例 |
出題者および所属 |
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岩手医科大学医学部6年1),同 病理学第二講座2)
角原 久夫1),佐藤 孝2),小谷 康慈2),増田 友之2)
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症例の概要・問題点 |
症例 |
37歳,女性 |
主 訴 |
発熱 |
既 往 歴 |
原発性肺高血圧症(35歳),プロテインS欠乏症(35歳) |
現 病 歴 |
1ヶ月前より発熱が出現.内服治療を行うも,発熱が続くため診断・治療目的で入院となる.血液検査ではWBC, CRPの上昇はみられず,AST, ALT, LDHの軽度上昇,血小板6万と低下を認めた.その後も発熱,倦怠感が軽快せず不明熱の原因精査のため内科転科となる.骨髄穿刺で血球貪食像を認め,免疫血清検査ではEBV抗VCA-IgG 640倍,EBV抗EA-DRIgG 640倍,geniQ-EBV 1x104/mlより慢性活動性EBウイルス感染症(以下CAEBV)と診断し治療を開始した.その後解熱し,EBウイルス量も減少したため,外来で経過観察していたが,初回入院待より1年5ヶ月後に発熱および血中EBウィルス量の増加を再度認め,CAEBVの再発と診断し治療目的で入院となった.入院時の胸部CTにて両側肺に小粒状陰影も認めたため,粟粒結核の疑いで抗結核薬の内服を開始したが,肝機能障害を認め薬剤性肝炎の疑いで内服を中止した.中止後も肝機能障害が増悪するため,CAEBVの急性増悪と判断し治療を開始するも,再入院後第10病日に永眠された.
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配布標本 |
剖検時の肺組織 |
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問 題 点 |
肺の組織診断について |
最終病理診断 |
慢性活動性EBウィルス感染症(肺,肝,脾およびリンパ節にEBER陽性の異型Tリンパ球浸潤著明.このような所見は予後不良を示唆するとのこと).原発性肺高血圧症の組織所見は不明瞭とのこと.
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コメント |
本症例では,CD45RO陽性,EBER陽性の異型リンパ球が肝臓,肺,骨髄,脾臓,リンパ節に浸潤していた.また臨床所見・検査所見からは原発性肺高血圧症と診断されていたが,肺高血圧症を示唆する病理学的所見は認めなかった.ただし,肺の血管周囲性にCD45RO陽性,EBER陽性の異型リンパ球の集積が散見され(図1, 図2),CAEBVの治療により症状が改善した時に肺高血圧の改善がみられたことより,肺高血圧症はCAEBVに起因したリンパ球の浸潤と関連があるのではないかと推測された. |
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画像1
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画像2
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