第 65 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 08 区分 A. 難解・問題症例
部位/臓器 乳腺
演題名 乳房腫瘍の一例
出題者および所属
山形大学医学部 発達生体防御学講座 病理病態学分野1)
山形市立病院済生館 外科2)
大竹 浩也1),岩場 晶子1),加藤 智也1),前田 邦彦1)
山川 光徳1),守本 和弘2)
症例の概要・問題点
症例 67才 女性
家族歴 叔母に乳癌あり
既往歴 1ヵ月前より糖尿病を治療中
現病歴 半年前に左乳房腫瘤を自覚した.その後増大傾向を認めたために1ヶ月前に某院を受診. AC 領域に径3cmの腫瘤が認められた.Dimplingやnipple dischargeは見られなかった.腋窩リンパ節触なし.CNBで診断がつかず,局麻下に乳房腫瘍摘出術を施行された.
肉眼所見 腫瘍は直径30mmx20mmで境界は明瞭,割面は白色調で均一であった.
配布標本 切除標本

問題点 病理診断について
最終病理診断 Malignant myoepithelioma, breast. (f(+), CK(+), CK34βE12(+), p63(+), CD10(+), MIB-1 score>40%)

コメント 急速に増大した乳腺腫瘍の一例.紡錘形細胞の浸潤性増生が主体であったが(図1),一部に上皮様細胞も見られた(図2).免疫組織化学的には腫瘍細胞は p63(図3),CD10,cytokeratin,vimentin,α-SMAに陽性,desmin,CD34に陰性の染色性を示し,MIB-1陽性率は40%と高値であった.以上の所見より,乳腺原発の malignant myoepithelioma と考えられた.
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