第 65 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 07 区分 B. 典型的・教育的・その他の症例
部位/臓器 甲状腺
演題名 著明なリンパ節転移をきたした小児甲状腺癌
出題者および所属
山形大学 人体病理病態学教室1),同 病理病態学教室2)
加藤 哲子1),朴 正華1),大竹 浩也2),本山 悌一1)
症例の概要・問題点
症例 11歳,女児
家族歴 特記すべきことなし
現病歴 2005年11月頃,前頚部腫脹に気づき,大学病院を受診. 甲状腺に腫瘤が見つかり,2006年2月,甲状腺全摘およびリンパ節郭清が行なわれた(pT2 pN1).その後,両側頚部リンパ節が腫大したため2007年5月に郭清術を施行.病理検査で両側深頚リンパ節および右鎖骨上リンパ節の計9個に転移が確認された.
配布標本 転移リンパ節(2007年5月)

問題点 1. 病理診断
2. 遺伝学的背景
最終病理診断 MEN 2B関連medullary thyroid carcinoma

コメント MEN2B関連の甲状腺髄様癌は髄様癌全体の2-3%を占めるに過ぎず,形態学的にはMEN2A関連例や散発例と特別な差異はないが,その生物学的性格は,若年齢での発症や高いリンパ節転移率などの点で大きく異なる.また,遺伝学的に,MEN2Bは2Aに比べて家族歴のないいわゆるde novo突然変異が多いことが特徴で,本例もそれに相当した.
画像1 画像2
リンパ節転移巣(弱拡大).小葉状・島状パターンを示す. リンパ節転移巣(強拡大).均一な円形核と淡い好酸性の胞体をもつ細胞が増殖している.