第 64 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP
−TN) 抄録データベース |
演題番号 |
24 |
区分 |
B. 典型的・教育的・その他の症例 |
出題者および所属 |
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本間 慶一1),太田 玉紀1),根本 啓一1),北村 康男2)
新潟県立がんセンター病理部1),同泌尿器科2) |
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症例の概要・問題点 |
症例の概要・問題点 |
77歳男性.
手術の2ヶ月前,頻尿を主訴にて近医受診.膀胱癌を疑われ当院泌尿器科を紹介.
画像診断では,膀胱は右側壁優位に広範な壁肥厚を認め,周囲軟部影の広がりから膀胱周囲脂肪組織へも浸潤する膀胱腫瘍が考えられた.右尿管開口部は腫瘍により狭窄しており,右腎は濃染不良で水腎症となっていた.TUR-BTの後に,膀胱全摘術+骨盤リンパ節郭清+回腸導管術を施行.
術後は一旦退院したが,1.5ヶ月後に急性腹症で緊急入院し,翌日死亡.
剖検は許可されなかった.(全経過3.5ヶ月) |
配布標本 |
膀胱腫瘍 |
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問題点 |
組織診断 |
最終病理診断 |
Micropapillary carcinoma of the urinary bladder (with urothelial carcinoma, UC>AC) |
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演者病理診断 |
Micropapillary carcinoma of the urinary bladder
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コメント |
血管結合組織芯を有しない微小乳頭構造を呈しリンパ管様の空隙内に浮遊状となって浸潤するMicropapillary carcinoma (MPC)は,乳腺,膀胱-尿管,肺,唾液腺,大腸で報告がある.膀胱MPCは膀胱原発悪性腫瘍の0.7-1.5%と稀で,経過は急激,予後は不良である.殆どの症例で非浸潤性の通常型尿路上皮腫瘍を伴い,粘膜には糸状の細い乳頭状構造をみることがある.リンパ管浸襲も目立つ.本例は上記の特徴をすべて有しており,CEA, CA125を除く免疫染色結果(EMA+, CK7+, CK20+, CD10+, LeuM1+, MUC1+)も膀胱原発MPCとしては典型的であった. |
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画像1
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画像2
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粘膜固有層から外膜までの膀胱壁全体に簾状の腫瘍浸潤がある.膀胱内腔に突出する通常型の移行上皮癌もみられる(ルーペ像) |
膀胱粘膜面の一部には腫瘍細胞が糸状の細い乳頭状構造を呈する部分がある.(x10) |
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画像3
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画像4
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腫瘍細胞は血管結合組織芯を有しない微小乳頭状の集塊を呈し,空隙中に遊離状となって存在する.(x20) |
腫瘍細胞は微小乳頭構造を保ちながら,筋層を激しく浸潤している.(x4) |
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