第 64 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP
−TN) 抄録データベース |
演題番号 |
18 |
区分 |
B. 典型的・教育的・その他の症例 |
演題名 |
新生児期より著明な肝脾腫,貧血及び血小板減少をきたした一例 |
出題者および所属 |
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武山淳二1),虻川大樹2)
宮城県立こども病院 臨床病理科1),総合診療科2) |
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症例の概要・問題点 |
症例の概要・問題点 |
症例は在胎37週,自然分娩にて出生した男児.出生時体重 2166g.家族歴なし.
日齢0より血小板減少を呈し,その後徐々に貧血,肝脾腫,肝障害,腹部膨満,腹水
が出現した.皮膚には5箇所に結節状の病変が認められた.
日齢10と38に行った骨髄検査で空胞を有した大型の細胞が認められ,代謝異常症
が疑われたが確定には至らなかった.日齢60に当院へ紹介.
転院後の血中CMVゲノム及び尿中 CMV 分離陽性のため,CMV胎内感染に準じて
日齢78よりガンシクロビルとγ-グロブリンを約6週間投与し,上記症状の改善が得
られた.
日齢109に施行した肝生検では,門脈域の著明な拡大を認め,泡沫状の胞体を有した
組織球[CD68(+), factor XIIIa(+), CD1a(-), S-100(-)]の浸潤を認めた.
日齢121に皮膚病変の生検を施行したところ,同様の細胞の増生が認められた.
全身状態良好のためその後無治療で経過観察されているが,現在までのところ症状の
再燃はみられていない.
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配布標本 |
日齢121に行った皮膚病変の生検標本である. |
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問題点 |
病理組織診断は? |
最終病理診断 |
Juvenile xanthogranuloma
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演者診断 |
Juvenile xanthogranuloma, systemic type. |
コメント |
皮膚では表皮直下から皮下組織にかけて組織球系の細胞が増生し,所々に Touton 型巨細胞が散見された.免疫染色でこれらの細胞は CD68(+), factor XIIIa(+), CD1a(-), S-100(-)で,dermal dendrocyte 由来と考えられた.肝生検組織でも同様の細胞が浸潤し,門脈域が著明に拡大していた.以上から診断は上記と考えた. |
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画像1
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画像2
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皮膚病変の肉眼像. |
皮膚生検組織.組織球系の細胞がびまん性に増生している. |
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画像3
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画像4
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皮膚生検組織.Touton 型巨細胞が散見される. |
肝生検組織.組織球系の細胞が浸潤し,門脈域が著明に拡大している. |
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