第 64 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP
−TN) 抄録データベース |
演題番号 |
16 |
区分 |
B. 典型的・教育的・その他の症例 |
演題名 |
充実性腫瘤の内腔突出を伴う膵体部嚢胞性腫瘍の一例 |
出題者および所属 |
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秋田大学医学部病理病態医学講座1),市立横手病院外科2)
西川 祐司1),大森 泰文1),吉岡 年明1),
吉田 正行1),西村 拓哉1),李 慶昌1),
山本 洋平1),吉岡 浩2),榎本 克彦1)
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症例の概要・問題点 |
症例 |
66歳,女性. |
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5年前に急性膵炎を発症し,入院した.その後,仮性嚢胞を伴う慢性膵炎と診断され,follow upを受けていた.3か月前のCT検査で膵体部嚢胞内に造影剤で増強される腫瘤が見出され,膵体尾部切除および脾摘が行われた.
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病理肉眼所見 |
膵体部に約4.5 cmの嚢胞があり,内腔に2.5X2.5X1.8 cmの弾性硬,割面やや褐色調の充実性腫瘤の突出が認められた. |
配布標本 |
充実性腫瘤を伴う膵体部嚢胞壁の一部 |
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問題点 |
病理組織診断,膵嚢胞と充実性腫瘤の関連性 |
最終病理診断 |
Osteoclastic GCT associated with mucinous adenocarcinoma |
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演者診断 |
Osteoclast-like giant cell tumor of the pancreas (OGCP) associated with mucinous cystadenocarcinoma
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本症例では,膵体尾部の単房性巨大嚢腫が多房性嚢腫となり,その後,嚢腫の1つに内腔に突出する充実性腫瘤が形成された(図1).嚢腫は種々の程度の異型を示す粘液産生上皮で裏打ちされ,壁には卵巣様間質(PR,ER陽性)が存在した(図2).充実性腫瘤(OGCP)は,中等度までの異型を伴う紡錘形細胞と多核巨細胞からなり,前者は一部にケラチンを発現する増殖性の高い腫瘍成分で(MIB-1標識25%),後者は増殖性のない組織球様細胞であった(図3,4).腺癌とOGCPにK-ras変異が認められ(図3),OGCPが腺癌から発生しうることを示唆している. |
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