第 64 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP
−TN) 抄録データベース |
演題番号 |
15 |
区分 |
B. 典型的・教育的・その他の症例 |
出題者および所属 |
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市立函館病院 中央検査部臨床病理科1),消化器科2)
工藤 和洋1),下山 則彦1),成瀬 宏仁2) |
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症例の概要・問題点 |
症例 |
84歳女性 |
既往歴 |
糖尿病,高血圧(70歳代前半より) |
経過 |
閉塞性黄疸の原因精査のため,当院消化器科に紹介入院となった.ERCP,MRCP,胆汁細胞診の結果 (class V, adenocarcinoma)から,総胆管癌の診断となった.高齢であること,肝内胆管浸潤があることから手術適応なしと判断され,放射線照射,ステント留置を行い転院した.黄疸再発,再入院,転院を繰り返していた.死亡2ヶ月前の内視鏡検査で,腫瘍の十二指腸穿破が確認された.発熱,食欲低下,腹痛,貧血,ネフローゼ症候群を来し,全身状態悪化のため診断の1年2ヶ月後死亡した. |
剖検所見 |
十二指腸上行脚から下行脚に 10 x 6 cm の広がりを有する1型腫瘍が認められ,十二指腸はほぼ閉塞状態であった.壊死が強く,出血源と思われた.ステントに沿って総胆管を肝門部まで切開したが総胆管ステント周囲は壊死性の腫瘍で埋め尽くされていた.肝臓では多発性の腫瘤が認められ,転移性腫瘍と思われた.膵臓は,表面に脂肪壊死が認められ膵炎と思われる所見であった. |
配布標本 |
胆管腫瘍 |
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問題点 |
病理組織診断 |
最終病理診断 |
Adenoendocrine cell carcinoma, bile duct. |
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コメント |
総胆管ステント周囲に壊死性病変あり.腫瘍は大きく2つのcomponent からなる.1つは典型的な高分化型管状腺癌の所見.もう一方は異型細胞が充実胞巣状,管状,索状パターンで増生.好銀顆粒陽性.免疫染色でAE1/AE3,Chromogranin A,synaptophysin,somatostatin陽性,NSE弱陽性,NCAM/CD56一部陽性で内分泌細胞癌と判断.以上腺癌と内分泌細胞癌が同時に見られたため,胆道癌取扱い規約に基づき腺内分泌細胞癌と診断した.肉眼所見,HE所見,サイトケラチン発現パターンの比較,p53,CA19-9の染色から,組織発生を内胚葉系幹細胞の腺癌と内分泌細胞癌への両方向への分化と考えた. |
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