第 64 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 11 区分 A. 難解・問題症例
部位/臓器 消化管 大腸
演題名 直腸粘膜下腫瘍の1症例
出題者および所属
越田 真介(いわき市立総合磐城共立病院・消化器科)
柏原 彩曜,白相 悟(同・外科)
浅野 重之(同・病理科)
症例の概要・問題点
症例 62歳,女性
既往歴 胃潰瘍,高血圧,高脂血症,うつ病
現病歴 平成18年3月頃から残便感,便柱狭小化などを自覚し,血便も1回あり.4月近医受診時,直腸指診にて腫瘍を指摘される.直腸癌疑いにて当院紹介,術前精査目的に消化器科入院となる.直腸指診にて肛門縁より約5cm口側部に表面平滑・弾性硬の腫瘤(A)を触知.肛門縁付近11時方向に直径1cm大のポリープ(B)を認める.(A)はCTおよびMRIにて直腸Rb右側の粘膜下に約3cm程の血流に富む,比較的境界明瞭な腫瘍として描出.下部消化管内視鏡にて(A)の隆起部表面より生検するも,Group1(直腸粘膜組織)の病理診断.本症例の腫瘍(A)は臨床経過から増大傾向が疑われ,粘膜下腫瘍の形態有し,画像上内部は比較的均一かつ血流に富むことから,GIST,Carcinoid,Lymphoma,Neurinoma,Leiomyoma/Leiomyosarcomaなどが考慮され,手術の方針.外科による経肛門的腫瘍針生検にてSquamous cell carcinoma(SCC)の病理診断.転移性の可能性を考慮し,外来にて他病巣検索するも異常なし.外科入院後,腹会陰式直腸切断術施行.病理組織では直腸腫瘍部(A)と肛門縁上の肛門ポリープ(B)は同様の組織像を呈していた.
配布標本 腫瘍(A),肛門ポリープ(B)

問 題 点 1. 本症例の病理組織像について
2. 腫瘍と肛門ポリープの関係
最終病理診断 Squamous cell carcinoma of the anal canal with mural metastasis