第 64 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 08 区分 B. 典型的・教育的・その他の症例
部位/臓器 消化管 小腸
演題名 多発性輪状狭窄によりイレウスを来たした小腸潰瘍の1例
出題者および所属
松下 泉1, 大藤 高志2, 後藤 慎二1, 高橋 道長1
菅野 明弘1, 長尾 宗紀1, 内藤 広郎1
1 みやぎ県南中核病院外科,2 同 病理科
症例の概要・問題点
症例 72歳 女性
既往歴 62歳 右大腿ヘルニアの手術.NSAIDs服用歴なし.
現病歴 緊急開腹手術の24日前に腹痛と嘔気を主訴に近医を受診しCTで左大腿ヘルニア嵌頓によるイレウスとして当科に紹介され,直ちに左大腿ヘルニア根治術がなされ,術後経過良好で4日後に退院.
緊急開腹手術17日前に再度イレウス症状が出現し翌日再入院した.再入院後,イレウスチュ・ブによる腸管の減圧で症状は改善したが,小腸造影で下部小腸に途絶があり,経口摂取開始でイレウスが再燃したので,緊急開腹手術が行われた.
手術所見 下部回腸に4・5cmの間隔で6ヵ所,全周性の狭窄が認められ,狭窄部の内腔は0.5・1cm程度であった.病巣部を含め回腸35cmが切除された.術後12日目に退院した.
病理所見 6ヵ所の狭窄部にUL?の浅い慢性潰瘍があり,潰瘍周囲では平滑筋と線維芽細胞/膠原線維増生が顕著で,場所によっては固有筋層の内層が潰瘍底に向って延び線維化も見られた.また,漿膜下層に線維化があった.IBD,結核,血管障害を示す所見はなかった.
配布標本 回腸狭窄部

問題点 診断と鑑別疾患
最終病理診断 Multifocal stenosing ulcers, further study required.