第 54 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 11 区分 [3.その他]
部位/臓器 副腎,傍神経節   副腎
演題名 副腎腫瘍の一例
出題者および所属
長沼 廣1)、大谷紀子2)、金藤博行3)、星 清継3)、今井克忠3)
1) 仙台市立病院 病理科
2) 東北大学大学院医学研究科病理形態学講座
3) 仙台市立病院 泌尿器科

症例の概要・問題点
症例 61歳 男性
主訴 下肢のしびれ、血尿
家族歴 特記すべき事なし
既往歴 51歳 顔面神経痛
現病歴 下肢のしびれと尿が濃くなったと訴えて、某病院を受診。腹部超音波検査で、
左腎腫瘍を指摘され、手術目的で、当院泌尿器科紹介され、受診した。
現症 貧血、黄疸なし。腹部、外陰等特に異常はなく、尿潜血 1+以外は血液、尿にも異常所見は認めなかった。
腹部超音波検査にて左腎外側に約5cm大の腫瘤陰影があり、
血管造影ではhypervascular tumorであった。
腎癌の診断の元に左腎摘出術施行された。
手術所見 摘出された腎には約5cm 大の黄褐色の腫瘤を認め、左副腎には大小の黄色腫瘤を多数認めた。
肉眼所見 左腎腫瘍は特に周囲臓器との癒着はなく、腎周囲脂肪織と共に容易に摘出されたが、
周囲脂肪織が通常より厚く、特に副腎部で脂肪織が多かったため、転移も否定できないと考えられた。
組織所見 腎腫瘍は部分的に紡錘形型を示す明細胞性腎細胞癌であった。
多数の副腎腫瘤はごくわずかに炎症性細胞或いは造血細胞を伴う脂肪腫であった。

問題点 副腎の骨髄脂肪腫は高頻度に見られるが、純粋な脂肪腫は稀である。術後にCTを見直した所、
対側副腎にも多数の脂肪腫を示す所見を認めた。
本例はmyelolipomaかadrenal lipomatosisか,ご教示ください。

最終病理診断 Lipomatosis.

配布標本 副腎腫瘍
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