第 63 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 24 区分 A. 難解・問題症例
部位/臓器 消化管 肛門
演題名 診断に苦慮した肛門ポリープの一例
出題者および所属
岩手医科大学中央臨床検査部臨床病理部門
鈴木 正通,焦 宇飛,無江 良晴,小西 康弘
上杉 憲幸,菅井 有,中村 眞一
症例の概要・問題点
症例 89歳 男性
主訴 排便時の肛門部の疼痛
既往歴 胃潰瘍(80歳),直腸癌にて低位前方切除術施行(86歳).
現病歴 直腸癌手術施行後1年で,経過観察中であった.
肛門部のポリープ性病変に気づき,自分で摘出しようと試みたところ,肛門部の出血と疼痛が出現した.
経過観察で訪れた病院にて直径約2cmの有茎性ポリープが発見され,切除術施行のため入院となった.
入院時現症 WBC 7.48x103/μl, RBC 3.16x106/μl, Hb 9.6g/dl,
TP 6.7g/dl, Alb 3.6g/dl, BS 207mg/dl, AST 21 IU/l, ALT 15 IU/l,
LD 183 IU/l, CHE 147 IU/l, ALP 266 IU/l, T-Bil 0.4, Fe 22 μg/dl,
CRP 4.1 mg/dl, CRE 0.7 mg/dl, CK 323 IU/l
病理組織学的所見 経肛門的切除術が施行された.
切除材料は,肉眼上表面平滑で暗褐色,割面の大きさは40x25mm の病変であった.
組織学的に表層には潰瘍形成と出血が見られた.
病変の中心では類円形,紡錘型細胞が増殖し,大型の異型細胞や多核巨細胞も見られた.
核分裂像も比較的多く認められた.

問題点組織診断 病理組織診断
最終病理診断 Malignant melanoma, highly suspicious.
(Pseudosarcomatous carcinoma, Perivascular epithelioid cell tumor (PEComa)などが鑑別診断として考えられた.
また,座長より本腫瘍はc-kit(+)なのではないか,GISTはどうかという意見,および肛門領域のmelanomaにc-kit(+)となった症例があるという報告があるというコメントもあり.)