第 63 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP
−TN) 抄録データベース |
出題者および所属 |
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横山 顕礼1) 新井谷 睦美1)
小山 敦1) 東 和明1) 浅野 重之2)
1) いわき市立総合磐城共立病院 救命救急センター
2) 同院 病理科
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症例の概要・問題点 |
症例 |
61歳,男性 |
既往歴 |
18歳から統合失調症.
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内服薬 |
抗精神病薬を3種,中枢性抗コリン作用を持つ抗パーキンソン薬2種,抗不安薬,睡眠鎮静薬,下剤.
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現病歴 |
近医精神科グループホーム入所中,夕食摂取約2時間後,突然腹痛を訴え,尿失禁・便失禁後,一時的に意識消失した.
腹部が著明に緊満し,腹痛が激しく増悪したため,当院救命救急センターに搬送された.
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経過 |
気管挿管後,腸管壊死を含めた急性腹症によるショックと判断し,処置試みるも手間取っている間に,急激な血圧・脈拍の低下がみられ,その後モニター上無脈性電気活動(PEA)となり,心肺蘇生を開始するも反応なく死亡した.
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剖検所見 |
開腹すると同時に,拡張した腸管が脱出してきた.
軸捻転のないこと,腸管壊死のないことが確認され,胃から直腸まで全腸管内に空気が多量に認められ,著明に拡張していた.
肝臓・脾臓・副腎などの臓器が扁平になっていた.
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配布標本 |
大腸(上行結腸) |
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問題点 |
胃腸管の著しい拡張によってACS(Abdominal compartment syndrome)が惹起されたものと考え,その病態について考察する.
"ACS"とは,急激な腹腔内圧上昇に伴い,呼吸,循環障害や乏尿などを来たし,減圧が遅れると致命的になる病態である.
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最終病理診断 |
緩下剤や向精神薬の長期服用に伴う腸管hypoganglionosisに続発したAbdominal Compartment Syndrome (ACS)
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