第 63 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 18 区分 B. 典型的・教育的・その他の症例
部位/臓器 軟部組織 下肢
演題名 右膝外側部軟部腫瘍の1例
出題者および所属
箱・?道之1 北條 洋1 日下部 崇2
渡邉 一男3 阿部 正文1
福島県立医科大学医学部 1病理学第一講座 2
病理学第二講座 3附属病院病理部
症例の概要・問題点
症例 19歳 女性
主訴 右膝外側部腫瘤
家族歴・既往歴 特記すべきことなし
現病歴 当院初診の7ヶ月前,登山後に右膝近位外側部に腫瘤が出現した.
近医で血腫と診断され除去術を施行された.
術後早期に再発し,他医で血管腫を疑われたが放置していた.
腫瘤による右膝屈曲時の違和感を主訴に当院整形外科を受診した.
右膝蓋骨外側上縁に9.0 x 6.5 cm大の腫瘤を指摘され,切開生検後に広範切除術を施行された.
術後1.5ヶ月で右肺に多発肺転移が出現し,化学療法 (DXR + IFM) 1コースを施行後した.
しかしその後の治療継続を拒否し,民間療法 (高麗人参+岩盤浴) を行っている.
現在術後5ヶ月が経過し,局所再発はないが,両肺に転移巣が増加している.
血液生化学所見 WBC: 6200, RBC: 455, Hb: 12.8, Hct: 38.5, Plt: 25.7, AST: 12, ALT: 10, LDH: 240, ALP: 240, BUN: 11.0, Cr: 0.5, Na: 139, K: 4.4, Cl: 105, Ca: 8.8, CRP: 0.2
画像所見 右膝関節MRIでは,膝蓋骨近位外側上縁に接して存在する,8.4 x 5.6 x 6.0 cm大の腫瘤が認められた.
T1強調画像で低信号,T2強調画像で低信号(一部高信号),Gdにて均一に造影された.
胸部CTでは明らかな結節影は認められず,全身タリウムシンチグラムでも右膝の病変部以外の部位への集積は認められなかった.
配布標本 切除腫瘍組織 腫瘍は7.4 x 7.2 x 5.7 cm大.肉眼的には,分葉結節状を示し,割面が灰白色の軟部腫瘤であり,血液の貯留した偽嚢胞状変化が認められた.

問題点 病理組織診断
最終病理診断 Poorly differentiated synovial sarcoma (PDSS) with partial Ewing/PNET-like appearance