第 63 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 06 区分 B. 典型的・教育的・その他の症例
部位/臓器 甲状腺
演題名 甲状腺 Pleomorphic tumor の一例
出題者および所属
君塚 五郎 岩手県立胆沢病院
症例の概要・問題点
症例 69才 女性
7年前より甲状腺腫としてFollowされていた. 増大傾向があるとのことで受診.
右葉に径2cm, 一部石灰化を伴う辺縁不整の結節が見られた.
FNABCで, Group5 Anaplastic carcinoma 或いは転移性癌と判定され,
甲状腺右葉摘出術, 頚部リンパ節郭清が施行された.
肉眼的には中下部に境界明瞭の結節が存し, 乳白色一様, 弾性硬で出血, 壊死は認めなかった.
組織学的には, 楕円形から紡錘形, 不整形さらには多核巨細胞が細胞境界や一定の配列を示さず増殖,Storyform 配列と思われる部分もあった.
多形細胞性腫瘍の範疇に容れられる腫瘍と考えたが, 甲状腺未分化癌, MFHを最も疑った.
免疫染色では, EMA, CAM5.2, AE1/AE3, CK7, CK20, TTF-1, Tgすべて陰性.
n[ 2(0/0) 3R・L(0/0) 5a・b(0/4) 6(0/7) 7(0/5) ]
Second opinionも依頼, 検討したが, MFHの診断はしない傾向にあること,
甲状腺未分化癌としては, 乳頭癌や濾胞癌の存在が認められ無い点を含め,
出血・壊死なども無く, 経過から考えて断定できないと考えている.

問題点 1.既存結節との関連.
2.診断をどのように考えたらよいのか, ご意見を伺いたく提示しました.
最終病理診断 Pleomorphic malignant tumor (MFH vs Anaplastic carcinoma of thyroid)
(CD68陽性からはfollicular dendritic cell tumorも鑑別に挙がるのではとの意見あり)