第 63 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 04 区分 A. 難解・問題症例
部位/臓器 副腎,傍神経節 副腎
演題名 副腎腫瘍の一例
出題者および所属
大竹 浩也1),松田 剛1),前田 邦彦1)
山川 光徳1),長岡 明2),川村 裕子2)
1) 山形大学医学部 発達生体防御学講座 病理病態学分野
2)同 代謝再生統御学講座 腎泌尿器外科学分野
症例の概要・問題点
症例 63歳 女性
既往歴 高血圧のため降圧剤(ニルバジピン)を内服中.
現病歴 62歳時に左側腹部痛が出現し,近医受診.原因検索のために腹部CTを施行され,
偶然に右副腎腫瘍が認められた.左側腹部痛の原因は不明であったが自然に消失した.
また,ホルモン異常を疑わせる徴候は見られなかった.
一般血液生化学検査上異常は認められなかった.
外来での採血により得られた血中ホルモン濃度は以下の通りで,ノルアドレナリンのみが高値を示した.
コルチゾール 11.1μg/dl,ACTH 20.2 pg/ml,アルドステロン58.4 pg/dl,アドレナリン 45 pg/ml,
ノルアドレナリン 991 pg/ml,ドパミン 15 pg/ml.
初診10ヶ月後に施行された腹部CTでは腫瘍の大きさは23 x 28 mm,周囲への浸潤所見はなく,
内部の濃度は不均一であった.造影では腫瘍の辺縁を主体に不均一な造影が見られた.
初診12ヶ月後に腹腔鏡下右副腎摘出術が行われた.
肉眼所見 腫瘤は被膜で覆われ,大きさは30 x 30 x 25 mm.
割面は黄色で中心に径15 mm 程の暗赤色の結節が見られた.
配布標本 切除標本

問題点 病理診断について
最終病理診断 Adrenocortical adenoma with cavernous hemangioma
(副腎腫瘍はWeissの基準に従うと腺腫の範疇)
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