第 54 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 08 区分 [1.難解・問題症例]
部位/臓器 腹膜,後腹膜及び関連組織  腹膜
演題名 腹腔内腫瘍の一例
出題者および所属
(財)宮城厚生協会 坂総合病院 病理科 千場 良司,岩間 憲行
東北大学医学部附属病院 病理部 森谷 卓也
症例の概要・問題点
症例 40代,女性
家族歴 特記すべきことなし
既往歴 過多月経.細胞診によりfollowされていたが,異常なし
現病歴 腹部膨満を主訴に来院.腹水の貯留と貧血が認められ,MRIにて左子宮広間
膜,S状結腸間膜と一塊となる腫瘤を指摘される.腹水の細胞診でClassV,セルブロックでadenocarcinoma.
画像所見と合わせて卵巣癌ないしは子宮体癌の疑いとの臨床診断のも
と摘出手術の予定となった.術前の下部消化管の内視鏡検査にてS状結腸に5cmにわたる外
圧排と粘膜面に一部腫瘍を思わせる変化があり生検されたが,紡錘状細胞が目立つことから
消化管間質性腫瘍の可能性ありとの診断.11日後に開腹手術を施行.腫瘍は卵巣および
S状結腸を堅固に巻き込み,大網に癒着し,回腸末端の腸間膜表面にも播種性病変を思わせる
変化があり,大網部の病変の一部を試験切除するにとどまった.
子宮は腫大するも漿膜面は概ね平滑であった。
病理所見 大網脂肪織内に浸潤する白色弾性硬の腫瘍.多房性の小嚢胞様変化も混在する

問題点 病理診断および鑑別を要する疾患についてご教示ください
最終病理診断 Endometrial stromal sarcoma, low grade malignancy, extrauterine?.

配布標本 試験開腹時に得られた大網部腫瘍