第 62 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP
−TN) 抄録データベース |
演題番号 |
14 |
区分 |
B. 典型的・教育的・その他の症例 |
出題者および所属 |
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洞口 愛1 大藤 高志2 高橋 道長1 後藤 慎二1 内藤 広郎1
1みやぎ県南中核病院 外科 2同 病理科
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症例の概要・問題点 |
症例 |
84歳,男性 |
主訴 |
腹痛 |
現病歴 |
亡くなる前日の朝から腹部全体の痛みがあり,近医を受診後当院外
科に紹介された.腹部は全体が膨満し白血球増多があり(16,400),
CTで巨大結腸症+便秘が指摘された.入院後も疼痛は改善せずタ刻
より意識障害と血圧低下が出現した.
生化学データで急性肝障害(ALT 1198, AST 452)が見られたので細
菌性ショックの診断のもとに治療したが翌朝亡くなった.
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剖検所見 |
? 巨大結腸症:大腸の内腔拡張はS状結腸次いで直腸に高度で,
下行結腸,横行結腸,上行結腸に行くに従い拡張の程度は弱かった.
しかし,内腔拡張は回腸にも見られた.同時に,S状結腸から直腸
全域の急性出血性壊死と小腸・大腸内の極めて多量のタール便貯留
があった.?左心肥大(580g).?強い大動脈粥状硬化症.
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組織学的所見 |
免疫組織学的に上行結腸から直腸の筋間神経叢はS-100陽性,CD117
陰性であった.小腸はS-100,CD117いずれも陽性.
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本例の結論と問題点 |
本例においては一次的か二次的かは判らないが,とにかくCajalの
間質細胞が大腸全域で殆どないか全くない状態であろうと考えられ
たが,文献的にslow transit constipationで大腸全域でCajalの間
質細胞が減少しているとの報告がある.巨大結腸症と筋間神経叢に
関する我々の知識は乏しいので,是非とも先生方の経験/御意見を
伺いたい.
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最終病理診断 |
汎結腸性Cajal細胞変性による巨大結腸症および広範大腸粘膜傷害に伴う細菌性ショック
(DMに随伴してCajal細胞や腸管内在神経の傷害が起こるという研究ありとの意見も述べられた) |
演者診断 |
おそらくpan-colonicにカハ・ル間質細胞が減少している巨大結腸症 |
コメント |
本例では一次的か二次的かは判らないが,兎に角Cajalの間質細胞が
大腸全域で殆どない状態であろうと考えられた.免疫組織学的に上行
結腸から直腸の筋間神経叢はS-100陽性で,CD117陽性のカハ・ル間質
細胞は固有筋層内で極めて少なかった.
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