第 62 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 17 区分 A. 難解・問題症例
部位/臓器 腹膜,後腹膜及び関連組織 後腹膜
演題名 高ガンマグロブリン血症を伴った後腹膜リンパ濾胞過形成
出題者および所属
佐熊 勉1),小野 貞英1),冨地 信和1),高山 和夫1)
佐藤 彰宜2),宮入 泰郎2),和野 雅治2),柏葉 光利2)
1)岩手県立中央病院 病理診断センター,2)同 血液内科
症例の概要・問題点
症例 56歳,男性
主訴 易疲労感
既往歴 特記すべきことなし
現病歴 前立腺肥大症にて近医通院中,易疲労感,微熱を訴え,貧血,多ク
ローン性高ガンマグロブリン血症を指摘された.
入院時検査所見 RBC 251x104, Hb 6.39/dl, Ht 21%, Plt 31.1xl04, WBC 6100
(Stab 1, Seg 72, Ly 17, Mo 9, Eo 1%)
TP 11.6 g/dl, A/G O.14(γ-gl 72.5%),
IgG 8890, IgA 880, IgM 103, M蛋白(-), 尿中B-J(-),
CRP 17.9, sIL-2R 2890 U/ml, lL-6 254 pg/ml.
骨髄穿刺:NCC 113000.形質細胞 23.2%, Ig再構成(-)
CT検査にて両側後腹膜の濃度上昇を認めた.後腹膜線維症,悪性リ
ンパ腫などを疑い,開腹生検を行った.
配布標本 後腹膜組織

問題点 病理診断(臨床所見もあわせて)
最終病理診断 Multicentric/extranodal Castleman disease, plasmacytic (plasma cell) type.
(細分類は難しいが,plasma cell dyscrasiaの一型とすべきではないかという意見あり)
演者診断 Extranodal Castleman's disease, plasma cell type.
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骨髄塗抹標本.骨髄では形質細胞が増加していた.形質細胞は多クローン性であった. 腹部CTでは,後腹膜の広範囲な異常陰影および腎腫大を認めた.

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後腹膜組織.後腹膜の生検組織では,脂肪織の中に,腫大した胚中心を有するリンパ濾胞が多数認められた. リンパ濾胞の周囲には形質細胞がびまん性に増殖していた.形質細胞には異型性は目立たず,免疫組織化学ではIgG(+)が優勢であったが,IgA(+), IgM(+)も混在しており,多クローン性と考えられた.