第 62 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 18 区分 B. 典型的・教育的・その他の症例
部位/臓器 腹膜,後腹膜及び関連組織 後腹膜
演題名 小児に発生した後腹膜腫瘍の1例
出題者および所属
箱・?道之 北條 洋 阿部 正文
福島県立医科大学医学部 病理学第一講座
症例の概要・問題点
症例 14歳,女児
主訴 左大腿部痛
家族歴・既往歴 特記すべきことなし
現病歴 1ヶ月程前より特に誘引なく夜間に出現する左大腿部痛を自覚して
いた.徐々に増強したため近医を受診し,左腰神経根障害を疑われ
た.腰部の画像検査(単純X線,MRI)にて左後腹膜腫瘍を指摘され,
当院整形外科に紹介された.神経学的所見とあわせ,腫瘍の圧迫に
よる左第4腰神経根障害と診断された.入院後に切開生検を施行さ
れ,その1ヶ月後に切除術を施行された.
血液生化学所見 WBC: 4800, RBC: 448, Hb: 13.3, Hct: 39.7, Plt: 38.0↑,
AST: 22, ALT: 13, LDH: 217, ALP: 250, BUN: 9.0, Cr: 0.5,
Na: 141, K: 4.5, Cl: 105, Ca: 9.6, CRP: 0.6↑
画像所見 単純X線では,左腸腰筋陰影の拡大と左第5腰椎横突起から仙骨に
かけての石灰陰影が認められた.腰椎MRIでは,第4腰椎上縁から
仙椎上方の高位で椎体左側と腸腰筋の間に,10.4x6.8x10.0cm大の
腫瘤が認均られた.T1強調画像で筋と等信号,T2強調画像で筋より
高信号,Gdにて不均一に造影された.境界は比較的明瞭で,椎体へ
の骨浸潤は認められなかった.胸部CTでは明らかな結節影は認めら
れず,全身タリウムシンチグラムでも左後腹膜以外の部位への集積
は認められなかった.
配布標本 切除術組織.肉眼的には中心部に高度の石灰化を伴う,割面が白色
の軟部腫瘤であった.

問題点 病理組織診断
最終病理診断 Extraskeletal mesenchymal chondrosarcoma: retroperitoneum.