第 62 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP
−TN) 抄録データベース |
演題番号 |
05 |
区分 |
B. 典型的・教育的・その他の症例 |
出題者および所属 |
|
函館五稜郭病院 パソロジーセンター1),同 呼吸器内科2)
池田 健1),大地 貴2)
|
|
症例の概要・問題点 |
症例 |
71歳,女性 |
既往歴 |
20歳代 卵巣腫瘍摘出術,40歳代 子宮筋腫摘出術,
50歳時 心筋梗塞でステント挿入. |
臨床経過 |
呼吸不全により他院にて加療中であった.平成16午7月,症状悪化のため当院呼吸器内科入院.
心エコーで右心負荷所見を,肺血流シンチでびまん性のcold spotを認め,
肺高血圧症とその原因としては肺血栓塞栓症が疑われた.
ヘパリンおよびワーファリンの投与,心不全に対する治療が継続されたが,
平成17年7月永眠した.
|
剖検 |
肺性心(心重量420g)を認めた.右肺360g,左肺330g,肉眼的に血栓・塞栓は認めなかった. |
配布標本 |
左肺下葉の一部 |
|
|
問題点 |
肺高血圧症を説明しうる病態について.
|
最終病理診断 |
Pulmonary capillary hemangiomatosis
(フロアよりpulmonary venoocclusive disease(VOD)
あるいはprimary pulmonary hypertension(PPH)ではないかという意見あり)
|
演者診断 |
Pulmonary capillary hemangiomatosis |
コメント |
Pulmonary capillary hemangiomatosisは原発性肺高血圧症の原因となるまれな病態である.
肺胞壁の毛細血管がびまん性に拡張・増生する.弱拡大の観察では一見うっ血を思わせるが,
肺胞壁毛細血管が2列以上,ぶどうの房状に重なり合って増生する特異的組織像を呈する
(画像1, 2).内皮細胞に異型はない.抗CD34抗体等の免疫組織化学を施すと病変が認識しやすい
(画像3).胸膜や気管支周囲にも毛細血管増生を伴う(画像4).二次性に小血管が肥厚・狭窄し,
ときに肺静脈閉塞症との鑑別が問題となる.
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|