第 62 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP
−TN) 抄録データベース |
演題番号 |
22 |
区分 |
B. 典型的・教育的・その他の症例 |
出題者および所属 |
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楠美 智巳1),田中 正則2),千葉 裕樹1),相澤 弘1),
佐藤 冬樹1),鬼島 宏1)弘前大学医学部 病理学第二講座1),
弘前市立病院 臨床検査科2)
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症例の概要・問題点 |
症例 |
58歳,男性 |
既往歴 |
左腎孟癌(尿路上皮癌)にて左腎切除,TUR-Bt,BCG療法 |
家族歴 |
特記すべき事項なし |
経過 |
約2年前に左足第1趾の腫瘤に気付いた.徐々に大きくなり3cm程
になったので受診した.直上の皮膚に潰瘍を形成していた.摘出術
が行われ,多結節性,白色の腫瘍であった.周囲の骨や腱との間に
は癒着は認められなかった.
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組織所見 |
紡錘形細胞が豊富な膠原線維とともに増殖していた.免疫染色では
cytokeratin, EMA, S-100 protein, desmin, α-SMA, CD34はいず
れも腫瘍細胞に陰性であった.MIB-1 labeling indexは12%であっ
た.
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配布標本 |
腫瘍組織(ほぼ最大割面) |
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問題点 |
組織診断 |
最終病理診断 |
Low grade fibromyxoid sarcoma
(Sclerosing epithelioid fibrosarcomaとする意見あり) |
演者診断 |
Low-grade fibromyxoid sarcoma(低悪性線維粘液肉腫) |
コメント |
本例の特徴は,成人(中高年)の四肢末梢に発生し,組織学的に粘液腫状変化
を伴う線維芽細胞・筋線維芽細胞性腫瘍であり,特定の分化方向を示さないことである.
本例は,low-grade fibromyxoid sarcoma(低悪性線維粘液肉腫)と診断した.
若年成人の体幹・下肢近位の深部に好発する点はあわないが,肉眼的には境界明瞭,
灰白色充実性,組織学的には,fibrous/ myxoid change, whorled growth pattern,
hyalinized giant rosetteがあり,cellular pleomorphismを示さない所見にあう
と考えた.ただし,FUS/CREB3L2あるいはFUS/CREB3L1融合遺伝子はRT-PCRで証明できなかった.
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本症例は以下の論文として発表されています.
Kusumi T, Nishikawa S, Tanaka M, Ogawa T, Jin H, Sato F,
Toh S, Hasegawa T, Kijima H.: Low-grade fibromyxoid sarcoma
arising in the big toe. Pathol Int. 2005 Dec;55(12):802-6.
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画像1
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画像2
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ルーペ像では,多結節性腫瘍である.腫瘍を被う皮膚には潰瘍が見られる. |
硝子化した膠原線維の豊富な部分と,粘液腫状部分が混在している. |
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画像3
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画像4
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腫瘍細胞は,whorled growth patternを示す. |
Hyalinized giant rosetteが認められる. |
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