第 61 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP
−TN) 抄録データベース |
演題名 |
手関節部皮下に発生し,肺胸膜転移や局所再発を来たした軟部腫瘍の1例 |
出題者および所属 |
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函館中央病院病理検査科1),
同 形成外科2),
(株)ジェネティックラボ病理解析センター3),
北海道消化器科病院病理部4)
池田 仁1),田原 正彦1),
渡邊 裕美1),寺邑 弘1),
亀谷 勝春1),木村 中2),
高木 芳武3),高橋 利幸4)
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症例の概要・問題点 |
症例 |
46歳,女性.初回手術の4年前より左拇指球基部から手関節
部にかけて腫瘍を自覚するも放置.その後,徐々に増大し当院
を受診.腫瘍摘出術を受ける.腫瘍は43x30x15mm大で皮下脂肪
組織の下に存在し,短拇指伸筋腱および長拇指外転筋腱の一部
を巻き込んでいた.腫瘍は黒色調であった.1ヶ月後,拡大切
除および左腋窩リンパ節郭清を行うも,残存腫瘍およびリンパ
節転移は認めなかった.その後経過観察していたが,手術より
14ヵ月後に左肺胸膜に播種状の転移をきたし,確認のためVATS
にてS8の腫瘍を切除,組織学的に同一腫瘍の転移であることを
確認した.化学療法および丸山ワクチン療法を開始し,術後約
3年半の現在に至る.その間,肺胸膜転移巣の増大,両鼠径お
よぴ腸骨領域リンパ節腫大,局所再発などを認めている.
提出標本は原発腫瘍のほぼ中央部付近です.比較的稀な軟部
腫瘍ですが,組織像や経過など典型的な症例です.
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最終病理診断 |
Clear cell sarcoma: soft tissue adjacent to wrist joint. |
演者診断 |
Clear cell sarcoma |
診断の根拠 |
手関節部腱膜と癒着して発生した充実性の腫瘍で,
組織学的にPAS陽性で淡明な胞体を有するあるいは好酸性を
示す多角形からやや紡錘形の細胞から構成され,一部に
Fontana-Masson染色陽性の褐色色素の沈着を伴うこと,
免疫染色でS100,HMB45陽性であることから診断は容易である.
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コメント |
発生部位や長い経過で再発,転移を繰り返す臨床的にも典型的な症例である.
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画像1
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画像2
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HE(強拡大) |
細胞診 |
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画像3
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画像4
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FM染色 |
HMB45免疫染色 |
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