第 61 回 日本病理学会東北支部学術集会（ＪＳＰ −ＴＮ）　抄録データベース
演題番号 23 区分 B. 典型的・教育的・その他の症例
部位/臓器 造血器 骨髄
演題名 Sea-blue histiocytosisの一例
出題者および所属
福島県立医科大学病理学第一講座1)，
太田西ノ内病院血液内科2)，
同 産婦人科3)

鈴木 理1)，松田 信2)，
田村 みどり3)，阿部 正文1)
症例の概要・問題点
症例 28歳，女性
既往歴 2,3歳時より，Niemann-Pick病を指摘されている．
現病歴 
第一病日：夜間，腹部膨満感を自覚していた．
第二病日：朝9:20頃，仕事場で下腹部痛ひどくなり，しゃがみ込んだ．
          息苦しくなり，救急車で某病院の救急外来へ搬送された．
          RBC 255x104 /μl，Hb 7.3 g/dl，WBC 4100 /μl,
          PLT 7.8x104 /μlとbicytopeniaみられ，腹部骨盤
          造影CT施行したところ，著明な肝脾腫があり，腹腔内には液体
          貯留をみとめ，腹腔内出血の診断のもとに緊急に腹腔鏡施行された．
          出血は右卵巣黄体からのものと考えられ，電気凝固にて止血した．
          出血量は約1400mlであり，輸血10単位施行された．術後経過は良好
          で手術の３日後，Niemann-Pick病の検索目的に，骨髄穿刺施行され
          た．手術の４日後退院となった．
標本 胸骨の骨髄組織
問題点 病理診断
最終病理診断 Sea-blue histiocytosis compatible
with Niemann-Pick disease (B型，慢性型): bone marrow.
追加 Niemann-Pick 病としては典型例であったと考えます．今回みられたSea-blue histiocyteはNiemann-Pick 病から続発性に生じたものと考えられます．したがいまして，Sea-blue histiocytosisの所見がみられた場合には，代謝性疾患であるリピドーシスやセロイド症などを念頭に鑑別診断していく必要があると考えます．
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