第 61 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP
−TN) 抄録データベース |
出題者および所属 |
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宇月 美和1)、大塚幸喜2)、秋山有史2)、
大津友見3)、澤井高志1)
1) 岩手医科大学 病理学第一講座
2) 岩手医科大学 外科学第一講座
3) 岩手県立沼宮内病院 外科
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症例の概要・問題点 |
症例 |
40歳代後半,女性 |
主訴 |
右下腹部痛 |
家族歴・既往歴 |
特記すべき事なし |
現病歴 |
某年3月中旬,右下腹部痛出現し,近医にて加療.
4月中旬,インフルエンザ(A)にて内服治療.その
9日後より腹痛,発熱がみられ近医を受診.2日後
に急性虫垂炎としてB病院にて手術施行.
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手術所見 |
虫垂先端部が腫瘤状となっており,
腹壁,小腸,大網との癒着がみられた. |
肉眼所見 |
虫垂壁から漿膜にかけて境界不明瞭な
黄白色の病変が認められた.
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免疫染色の結果 |
LCA, CD30, CD15, サイトケラチン, EMA, α-SMA,
デスミン, S-100,CD68, α-1-アンチトリプシン,
リゾチーム, HMB45などいずれにおいても腫瘍細胞
には明らかな陽性所見は認められなかった.
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配布標本 |
虫垂腫瘍 |
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問題点 |
病理診断 |
最終病理診断 |
Inflammatory myofibroblastic tumor: appendix vermiformis. |
追加コメント |
虫垂の粘膜・漿膜にかけて長径6cmの腫瘍が認められ,リンパ球などの炎症性細胞浸潤を背景として高度な核異型を示す紡錐形細胞の増殖が認められた.剥離端には異型細胞がみられ,CTでも腫瘍の残存と思われる病変が後腹膜と小腸壁に認められ,その部位に一致してPETでFDGの取込みが確認されたため,追加切除が行われた.追加手術では初回手術と同様の組織像を示していた.免疫染色では腫瘍細胞はビメンチンとALK(anaplastic lymphoma kinase)が陽性を示していた.α-SMAとデスミンは陰性であり,inflammatory myofibroblastic tumor (IMT)のV型と診断した.腫瘍の悪性度については,核異型が高度で浸潤性の増殖を示していたことや,過去の報告例などから,悪性も考慮して対応する必要があるものと思われた. |
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