第 61 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 17 区分 B. 典型的・教育的・その他の症例
部位/臓器 造血器 脾
演題名 脾破裂をきたした伝染性単核球症の1例
出題者および所属
山形大学医学部環境病態統御学講座 人体病理病態学分野
緒形 真也,田村 元,本山 悌一
症例の概要・問題点
症例 30歳,男性
既往歴 特記事項なし
現病歴
約1ヶ月前より感冒様症状あった.1週間前より
A病院,B病院を受診し風邪として投薬を受けたが
改善しなかった.B病院を再受診したところ肝機
能障害を指摘され,精査加療目的に入院した.
入院翌日夕方に左李肋部痛,2日後の早朝に起立
時低血圧あった.腹部CT,腹部超音波検査にて脾
破裂を疑われ,一時経過をみるも止血せず,緊急
に摘脾術,肝針生検が施行された.
入院時検査データ
WBC 2.09万 /μl TP 6.3 g/dl EB抗VCAIgG 160(+)
RBC 503万 /μl T-Bil 3.9 mg/dl EB抗VCAIgM 40(+)
Hb 16.4 g/dl AST 695 IU/l EB抗EADRIgG <10(-)
Plt 10.8万 /μl ALT 870 IU/l EB抗EADRIgM <10(-)
CRP 0.61 LDH 1033 IU/l EB抗EBNA抗体 <10(-)
肉眼所見
脾重量202g,大きさ15x9x4.5cm.被膜下の脾実質に
亀裂,出血があり,一部は被膜外に穿破.
配布標本 摘出された脾臓の一部

問題点 本症例の病態,脾破裂の機序について
最終病理診断 伝染性単核症にともなう脾柱静脈内皮下への高度の
細胞浸潤(CD8陽性Tリンパ球)による脾被膜下亀裂形成