右上下肢の脱力感を認め,当院を受診し, 右半身麻痺と右顔面神経麻痺を指摘された. 頭部CT検査で,前頭葉にring-like enhancement を示す腫瘤陰影を認めた.各種検査を行ったが, 頭部以外に病変は認めなかった.脳腫瘍が疑わ れ摘出術が施行された.
CK/AE1/AE3(-), CK7(-), CK20(-), EMA(-), Vimentin(+), GFAP(-), S-100(-), NSE(-), Actin(-), α-SMA(-), Desmin(-), HMB45(-), CD34(-), CD68(-), CEA(-),p53(+), MIB-1 labeling index 18.3%.
本症例は計3回,腫瘍摘出術が行われた. 初回,2回目手術時はその摘出された標本はほとんどが 紡錘形の腫瘍細胞からなっていた. 初回手術時標本の病巣の辺縁にごくわずかに脳組織を認め, そこでは異型glia様細胞が認められた.また糸球体構造様の 小血管の増生が認められ,以上からgliosarcomaと考えていたが, 確証は得ていなかった.3回目手術時の標本にglioblastoma様の 組織像(nuclear pseudopalisading)が認められた.以上を総合して, 本腫瘍はgliosarcomaに相当する腫瘍と診断した.