第 61 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 12 区分 B. 典型的・教育的・その他の症例
部位/臓器
演題名 胆管癌を合併した肝疾患の一例
出題者および所属
福島県立医科大学附属病院 病理部1)
福島県立医科大学病理学第1講座2)

野村 瑞子1),橋本 優子1)
中村 直哉2),野沢 佳弘2)
渡辺 一男1),阿部 正文1)2)
症例の概要・問題点
症例 57歳,女性
既往歴 平成13年,急性胃腸炎で近医に1週間入院.
この際外側区域の胆管に軽度の拡張を指摘された.
家族歴 特記すべきことなし
現病歴
平成17年3月,腹痛で近医に入院.その時の腹部CT
にて肝内胆管の拡張を認めた.その後の精査で肝機
能障害とCA19-9 600 U/mlと高値を指摘された.
HBV(-), HCV(-).胆汁細胞診で胆管癌と診断され,
5月16日拡大肝左葉切除術を施行した.
画像所見
高度な肝腫大が見られる(CTより算出した全肝容積は3197ml).
左右胆管の嚢胞状の拡張を認め,特に右葉の末梢に著明である.
腎に大小の嚢胞が数個ずつ見られる.
肉眼所見
肝は著明に腫大し(切除した肝左葉の重量は1260g),
肝全体にわたる線維性組織の網目状の増生が見られる.
肝門部左肝管から肝に浸潤する3.3x2.5cmの腫瘤性病変を認める.
配布標本 切除肝組織(癌を含む)

問題点 1. 肝腫大と肝全体にわたる線維化についての病理診断,
2. 上記病変と胆管癌との関連について
最終病理診断 先天性肝線維症およびCaroli病に合併した胆管癌